関市のヒト

楽しく生きるということ ~その笑顔の背景にある壮絶な道のり~

酒井 理絵さん

事業承継×イベント企画

第6期せきららゼミでは「関ではたらく」をテーマに、大学生が8名のゲストにインタビューを行いました。普段は、決して聞くことができないような「せきらら」な話をたっぷり聞いた大学生たち。果たして、どんな話が聞けたのでしょうか?

本記事は、中京大学3年の藤田愛唯さん、岐阜大学1年の石原利紗さんが書きました。

せきららゼミの詳細およびほかの参加者が書いた記事はこちら (別ウィンドウで開く)

工房上田の内観

酒井さんの仕事について。事業内容、働き方、一日のスケジュールなど

酒井さんは、工房上田にて、製本・箔押し印刷や地域イベントの主催をしています。箔押し印刷とは、金箔や銀箔などをプレス機を使い、熱と圧力で紙に転写する特殊印刷です。工房上田では、熟練の職人が一枚一枚手押しで加工しています。

製本・箔押し印刷では、小学校・中学校の卒業文集や大学卒論文集、関市の議事録のような行政にかかわる書物の表紙を制作、製本を行っています。

他にも、地域イベントの主催をしており、2023年10月に開催した「せきハロ 子ども110番の家めぐり」のような地域住民を巻き込んだ活動を行っているそうです。昨年からは、関高校の購買で販売の仕事もしており、時折、高校生の恋愛相談や日頃の悩みを話すなど楽しく仕事をされています。

せきハロの様子

酒井さんにとって「働く」とは

とにかく“楽しい”ということを話されていました。工房では、社長との何気ない会話から、現代を生きる人には忘れがちな実用的なことまで話されるそうです。製本や箔押し印刷のデザインを考える際にも、実際に使う人のことを想像しながら制作しているとのこと。

動いて人と関わることが好きな酒井さんは、現在、捌ききれないほど多くの仕事を受け持っているそうです。これも酒井さんの明るい人柄があってのことだと感じました。

上田社長(右)と

酒井さんの学生時代から社会人時代について

~学生時代~
全校生徒が30人程の少人数の小学校に通っていたそうです。1年生から6年生まで全員が同じクラスで、小学校の同窓会の開催も計画されている程仲が良いと話されていました。
酒井さんは、小学生の頃から高校生の頃までバレーボールをしていたそうです。また、小学校から中学校の9年間応援団をしていたそうで、人前に出るのが好きで活発な子どもであったことが伺えました。

~社会人時代(18歳から22歳ごろ)~
酒井さんは、高校を卒業後、大手自動車メーカーの工場で6年間勤務されました。汗まみれになりながら、夜勤もやりながら、正社員として働いていたそうです。
「あの頃は、若かったから、夜勤のあと友達とカラオケに行っていたよ」と笑って話されました。この時期に多くの人と関わり、人生経験を積んだと話されていました。

酒井さんの人生の転機

酒井さんは、数年前、4人目のお子さんを幼くして亡くしました。その際に、虐待の疑いもかけられ、精神的にふさぎ込む日々が続いたそうです。そうした現実と向き合う中で、自身の価値観に変化が訪れます。

それまでは、ごく一般的なママとして、子どもに「勉強しなきゃダメよ」と叱ったり、複数のママ友グループに属していたそうですが、お子さんの死をきっかけに「自分はグループに属さなくても大丈夫。人の顔色を窺わなくてもいい。自分は自分」と思えるようになったり、「子どもが居てくれるだけでありがたい」と思えるようになりました。

酒井さんが、普段生きる上で大事にしたいこと・願っていること

「楽しい場には、人が集まってくる」。

酒井さんは「楽しいかどうか」が行動を起こす尺度だと話します。

例えばイベントを企画する際、まず自分が楽しいかどうかを想像する。それは、自身が楽しいと思えることは、ほかの多く人たちも楽しいと思ってもらえるという確信があるからです。

実際、先日開催されたイベントでは「楽しい」を突き詰めていった結果、来場者は1,500人を超えました。これを皮切りに、現在も新たなイベントを企画している真っ最中とのことです。

また、子どもたちにも「楽しいか、楽しくないか」の感覚を大事にしてほしいと思っています。子どもへの干渉は最低限にとどめ、より良い人生を歩んでくれるように、それとなく気づかせるということを行なっているそうです。

せきハロイベントでのひとコマ

「関市で働く」ということに関して、酒井さんがパッと想い浮かぶこと

関市の地場産業である刃物について「もっと良くできるのに...」と考えているそうです。

いっしょに働く社長がこれまで見てきた大阪などの作業場は、関市の作業場に比べるともっと作業の様子がみえるようになっていたといいます。

関市の素晴らしい技を持つ職人さんたちも、もっとその様子をアピールして「見える化」すれば、若い人たちに人気がでるのではないか。まずは暗くて隠れている、刃物産業のイメージ改革ができるといいと話されました。

関市議会会議録

酒井さんの趣味、休日の過ごし方

趣味は焚き火で、今年は焚き火台を買うことに決めているそうです。

「思い立ったが吉日」とばかりに、仲間に声をかけて集まり焚き火をするといいます。焚き火に癒されることで、多忙な毎日の活力にしているようです。

なんと、真夏の昼にも焚き火をやるそう!

酒井さんの今後の展望、考えていること

「2024年、会社をおこすこと」。

会社という「箱」を作ることによって、今まで企画・運営してきたイベントや活動のような、いろいろなことを可能にする足掛けを作りたいと話します。

先ずは、主催者・スタッフが楽しむこと。これを前提とした企画・運営をこれからも実現し続けたいと語ってくださいました。

酒井 理絵さんに質問!

    Q:子供の頃の夢は何ですか?
    A:いま思い返すと、夢はなかった。むしろなぜ夢を持たなければならないのか?というスタンスでした。それよりもむしろ、日常の小さな目標、それも、それを達成する過程も含めて楽しいと心から思えるような目標に向けた行動を継続することこそ重要だと思っています。

    Q:関市の魅力は何ですか?
    A:私が活動する富岡小学校区の良さは「高齢者がどんどん元気になってきたこと」です。7~80代の方々が地域を盛り上げようと意欲的になってきたことを感じています。

    Q:関市のおすすめのスポットや名物、体験してほしいことは?
    A:最近のお気に入りスポットは「武芸八幡宮」です。なんといっても心が落ち着くので、みなさんにもぜひ行ってみてほしいです。

酒井 理絵さん

@Rie 工房上田 代表
せき・ミラクルクリエイターズ 副代表
製本・箔(はく)押し印刷の工房上田を引き継ぐ為に、子育てをしながら約3年前から社長の元で修行中。古き良きモノを知って手にして頂ける様に、金箔を使ったメッセージカードなど、新たなサービスにも挑戦している。
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