関市のヒト

自分の“やってみたい”をカタチにできるまちが関でした。

杉戸美月さん

シンクロ一筋の毎日から新しい世界へ

杉戸美月さん(24歳)がアーティスティックスイミング(旧称シンクロナイズドスイミング、以下シンクロ)を始めたのは8歳の頃。地元・名古屋のクラブチームで毎日シンクロ漬けの生活を送っていました。大学では日本代表メンバーに入るほどの実力を持つ杉戸さんでしたが、次第にシンクロ以外の世界も見てみたいと思うように。そんな杉戸さんが岐阜県関市のことを知ったのは、たまたま参加した青年海外協力隊のイベントでした。

「イベントでは関市のブースが出ていて、地域おこし協力隊について紹介を受けたんです。以前から地域おこし協力隊の存在は知っていましたが、その頃あまりイメージはわかなくて。これまでシンクロ一本でやってきたので、社会人として働くための特別なスキルや経験がないことに不安を感じていましたが『自分のできることから始めていけばいいよ』という担当者の言葉に背中を押されたような気がしました。自分の直感を信じてみたい!そう思ったんです」

当時は関市の場所すら知らなかったという杉戸さんでしたが、実家の名古屋から車で約1時間半と近いことも移住の決め手に。15年以上続けてきた競技生活にピリオドを打ち、単身関市へとやってきました。

▲「名古屋から近いのに今まで関市には行ったことがなかったですね」と杉戸さん。

地元小学生とともに成功をおさめた「リズム水泳発表会」

杉戸さんの活動エリアは関市の西側にある洞戸(ほらど)地区。鮎の宝庫として知られる板取川が流れ、高賀渓谷などの美しい自然に多くの観光客が訪れる地域です。

「洞戸地区初の地域おこし協力隊ということもあり、地域の方も最初は『何をやる人なんだろう』と思っていたかもしれません」と語る杉戸さん。

積極的に挨拶回りや会合に参加したり、地元のマラソンイベントで写真撮影用のフレームを手作りしたり、広報誌に毎月自分の活動内容を紹介したりと、少しずつまちに溶け込んでいくなかで、ある情報を耳にします。
「洞戸地区にはプールが小学校に一ヶ所しかないのですが、昔、そこで水上運動会が開催されていたそうなんです。それなら、ここでシンクロもできるかもしれないと思いました」

早速地域の人々に、地元の小学生を対象にした『リズム水泳発表会』の開催を相談すると、杉戸さんの熱意に動かされ協力してくれることに。とはいえ、小学生にシンクロができるのか、そもそも参加してくれる人はいるのだろうか……。さまざまな不安がよぎるなか、約2ヶ月間の練習を経て、見事『リズム水泳発表会』を開催。子どもたちの楽しそうな演技に観客からは大きな歓声が上がり、杉戸さんにとっても洞戸ではじめて「自分がやってみたいこと」をカタチにした、思い出深い1日になりました。

▲杉戸さんはリズム水泳を通して、地元の小学生に水中で演技することの楽しさを教えた。

まちの人の「できたらいいな」をサポートしたい

現在、地域おこし協力隊として2年目を迎え、関市での暮らしにもすっかり慣れた杉戸さん。最近は、議論をわかりやすく記録・図式化する「グラフィック」や、議論の促進を促す「ファシリテーション」について学んでいます。

「洞戸では地元の人たちによるまちづくり委員会をはじめ、毎日さまざまなところで話し合いが行われています。このまちのことを深く知っていくと、洞戸にはまちの未来について真剣に考えている人が本当に多いと感じますね。みんなで議論したことや考えたことが、わかりやすく見える化できれば、もっと新しい動きが生まれると思っています」

まちを動かすのは地域おこし協力隊ではなく、主役はあくまで地域住民、と語る杉戸さん。みんなが楽しくまちづくりに関われるよう、スムーズな対話の場をつくったり、「こんなことをやってみたい」と手を挙げた人のサポートをしたりと、このまちでやりたいことはまだまだ尽きることがありません。

杉戸美月さんに質問!

    Q.関市の好きな場所は?
    高賀渓谷ですね。実は初めて関に来たとき、車酔いをしてしまい、景色を見るどころではなかったのですが、高賀渓谷の澄んだ空気と鬱蒼とした景色に心を奪われました。

    Q.移住して最初にしたことは?
    地域の人への挨拶回りです。はじめは距離をとっていた地元の方も、こちらが積極的に接することで、逆に話しかけてくださるようになりました。

    Q.地域おこし協力隊に向いている人は?
    人と関わることが好きな人だと思います。あとは、地域の人の声に耳を傾けることも大切だなと感じています。

杉戸美月さん

愛知県名古屋市出身。8歳からアーティスティックスイミングをはじめ、中京大学在学中には日本代表メンバーに選ばれる。2017年10月に関市洞戸地区へ移住。地区初の地域おこし協力隊に就任し、現在2年目を迎える。